ユキさんの話の中のマキトと、私の知っているマキトはまるで別の人間です、

ぶっきらぼうで、音楽が好きなところだけが同じで、あとはもう正反対。

「多分ね、ミヨちゃんといたときのほうが本当のマキトなんだよ」

ユキさんはそう言って間をおくようにグラスに口をつけます。

「アタシといた頃はムリしてたんだと思うよ……」

そして、聞こえないくらい小さい声で

「わかってあげたかったなぁ」

と呟きました。