浪人を始めて半年くらいしたころ、マキトはうちの店にやってきた。

あろうことか浪人生の分際で、女連れで。

で、目の前で私のことを「俺の高校の先輩」とか言った。

それだけならまだしも隣の女を「これ、うちの彼女」とまで言った。

さすがにぶん殴ってやろうかと思ったけど、隣でマキトに隠れるようにこっちを見る女の子が、

私と完全に逆のタイプっぽいので、ああ、まあいいかと思ってやめておいた。

多分、マキトが本当につきあいたかったのはこういう子だと、見ただけでわかってしまったからだ。

その子は、ミヨと名乗った。