「なあ、ユキ」

いつの間にかギターを構えているマキトが私に話しかける。

「曲、作ってみたんだけど」

「へぇ、いいじゃん、聞かせてよ」

アタシが目を光らせると、マキトは「んじゃ」と言って、一言余計なことを言って弾きはじめた。

「これはユキのための曲」

「なっ…」

何バカなこといってんの、という言葉はマキトの演奏にさえぎられた。

軽快でテンポのいい曲。いまの私達のバンドによく合う曲だった。