「そうだなあ、じゃあ、すっごい昔話からしようか」

ユキさんは顎に手をあててそう言って、グラスのジュースを一口飲みました。

「じゃあこれからするのは、10年くらい前の話。私が、マキトとつきあってた頃の話ね」



「……はい?」



マヌケな顔と声で私は答えます。不本意ですが。

「そっか、言ってなかったっけ。マキトもわざわざ言わないか…」

「ユキさんってマキトとつきあってたんですか!?」

私は身を乗り出して声を上げます。

いろいろ思うことはありましたが、ただただ驚いていたというのが正直なところです。

「そっかー、しまったなぁー。んじゃ、そのあたりから話そうか」

そう言って、ユキさんは頭をガシガシとかいてから、一つ頷きました。