「え……?」

私は、目の前が真っ暗になる気がしました。

それでも、店の中で倒れるわけにもいかず、お札を受け取ってフラフラと店を出ました。

もう、何がなんだかわからない、という言葉がかわいく見えるくらい、私は混乱していました。

私はフラつく足取りで、一番近所の、マキトとたまに来たロイホにたどり着きます。

ガラス越しに店内を覗いても、マキトらしい人影はいません。もちろん、店の外にも見つけることは出来ませんでした。

残っているのは、今日メールにあった海しかありません。

でも、私はもうそこに向かう気力を失っていました。

時刻はもうすぐ夜の11時、そもそもこの時間に明かりもない海岸にいられるはずがありません。

私は体を引きずるように、自分のアパートへと向かいます。