ごくり、と唾を飲む音が聞こえました。ソウタロウさんだったのか、自分が無意識にそうしたのかはわかりませんでした。

「ミヨさん、あなたが好きです。誰よりも」

そう言って、彼は大きく息を吐きました。

数秒の沈黙、店内に流れる静かなクラシックと、別のテーブルでの歓談が私達の席を包みました。

「お返事は、言った通り日曜で構いません。ただ、多分ミヨさんは僕が仕事しているときしか知らないから」

「ええ、こんなに照れ屋で情熱的な人だとは…」

思わず思ったことをそのまま言ってしまいました。目の前では顔を真っ赤にしたソウタロウさんが下を見ています。

「え、ええとですね、だから、やっぱりそれだけで判断してもらうのはフェアじゃないかなと思いまして」

急に喋り方がぎこちなくなるソウタロウさんを見て、私はまたも、微笑ましい気持ちになりました。