もう、途中からはいちいち考えるのをやめました。

私は混乱する頭の中の土にただただユキさんの言葉という水をしみこませることにしました。

「だから、忘れるんじゃなくて、吹っ切りなさいな、ね?」

その最後の水を私の中の土がしっかりと吸収したところで、

私はユキさんにくしゃくしゃと頭をなでられて、思わず目を瞑りました。


その時です、私のバッグから低い、唸るような音が聞こえてきました。

「あ、携帯」




「え?」

ユキさんとの会話で忘れていましたが、きっとマキトが連絡をよこしたのでしょう。