「はい、これ」

ユキさんが私に差し出した手にはハンカチが握られていました。

私は、何事かと頬に手をあてて気づきました。私の頬が、知らない間に涙で濡れています。

そして気づきました。昨日マキト本人から聞いたその話を私自身が一番信じたくなかったのだと。

「じゃあさ、ミヨちゃん」

頭をぽんぽんとしながら、優しい顔に戻ったユキさんが私に問いかけます。

「さっきの質問を返すけど、ミヨちゃんはアイツが、マキトが消えた時のアタシのこと覚えてる?」

「え?」

「何度かミヨちゃんアタシの所に来たでしょ?マキト知りませんかーって」

私はその言葉に従うように、あの頃のユキさんのことを思い出しました。