ふぅ、と私の溜息に答えるように、マキトも一つ溜息をついてこちらを見つめます。

「他に女作って消えた男のことなんて忘れちまえ。で、そのソウタロウさんと付き合えよ、真面目な人なんだろ?」

「私だって忘れたかった、でも忘れられなかったものはしょうがないじゃない」

「でも」

「その忘れたほうがいい男が今更出てくるからまた困ってるんじゃない!」

深夜なのも忘れて思わず大きな声を出してしまいました。

幸い、アパートから誰か覗き込まれたり近所から怒鳴られたりするほどではなかったらしく、

私の声が響いて消えた後、深夜の公園は私が来るまでのようにしんと静まり返りました。

「……じゃあ、こうしようぜ。この四日間でオレのこと吹っ切れ」

静寂を破ったのはマキトの意味不明な発言でした。

とにかく、何はともあれこの日から始まってしまったのは確かです。





想いを伝えた一人と
伝える言葉を探す一人と
何かを伝えに来た一人の

最後の四日間が。