『ミヨ…』

「うん」

『初めて会ったときのこと覚えてるか』

「思い出したからここに来たんだよ」

『そっか』

「私が受験勉強の息抜きに、って友達に誘われたんだよね」

『で、方向音痴のミヨさんは目当てのライブが終わるまでにここに辿りつけませんでした、と』

「うー…でもそのおかげでひとりライブとか寂しいことしてるマキトに会えたんだし」

『まあ、人の縁ってのは不思議なもんだよな』

「うん」

『お前の周りにはさ、お前を愛してくれる人がたくさんいるじゃんか。ユキにしろ、あの青年にしろ』

「うん」

『生きてる人はさ、生ものなんだから、常に大事にしろよ』

「また冷蔵庫の話?」

『気に入ってるんだ』