ぽかんと口を開け放って、私はマキトを見ます。

「なにそれ?」

「でも、実際悩んでただろ?このベンチに座ってるってことは」

誰よりも私の習性を知っているであろうマキトの言葉は正しいです。事実、悩んで座っていましたし。

ただ、悩みの原因であるヤツに言われたくないのも確かです。

「せっかくだしほら、話してみ、何悩んでるんだか」

なにも悪びれることなくそんなことを言うマキトの口調に、私はすっかり毒気を抜かれてしまいぽつりぽつりと話を始めました。

ソウタロウさんに告白されたこと、マキトのことが吹っ切れずにいたこと、その他、愚痴をたくさん。

マキトは時折「うんうん」と頷いたり「それは、悪ィ」と謝ったり、もちろん後者は愚痴ったときに、しながら

私が一通り話すのをとなりでじっと聞いていました。

「やっぱり、か」

「え?」

「いや、悪いことしちまったなぁ、ってな」

「悪いと思うなら最初からしなきゃいいのにね」

「ごもっとも」

ポリポリと頭をかくマキトをまたにらんで、大きなため息を一つつきます。