「忘れてほしかったワケ…?」

『忘れてくれればよかったのに、と思いながら出てきたんだけどさ、考え変わった』

「……うん」

『こないださ、ユキが言ってたっていうのなんだっけ『007は二度死ぬ』みたいなの』

「……人は忘れられた時にもう一度死ぬってやつね」

『それそれ、それ聞いて、やっぱり、間違ってたんだなと思ってさ』

「……うん」

『死んだこと報せなくても、もう一度死んだら一緒なんじゃないか、とかさ』