舞台袖の方を見た時、携帯が鳴りました。

私は、息を飲みます。

それは、私の携帯に入っていないはずの曲でした。

マキトが私のために作ってくれていた曲、あのバラード。

私はその曲をずっと聞いていたくて、電話を持ったままたたずんでいました。

その曲は、私が知っているよりずっと長くて、私はなおさら聞き入っていました。

しばらく聞いていると、その曲の音が急に鮮明になった気がしました。

私は振り向き、大きく息を吸いこみます。

いつしか、着信メロディは止まっていました。






私の耳に届いていたのは、マキトの演奏するギターの音でした。