私は、涙を流しながら電話に向かって話すユキさんをじっと見つめていました。

マキトとどんな話をしているのだろうと気にはなりましたが、なんだか聞いてはいけない気がして、

ハンカチだけ差し出して、そっぽを向いていました。

しばらくして、ユキさんは電話が切れたそぶりを見せました。

私は近づいて、ユキさんの顔を覗きこみます。

赤く腫らした目でこちらを見て、ユキさんは微笑みました。

「さて、じゃあご飯でも食べてからじっくり考えましょっか」

ユキさんはそう言うと、私の頭をくしゃくしゃとなで回しました。

そしてポケットに濡れたハンカチを捩じ込もうとして、自分の服でないことに気づいたらしく、

照れ笑いしながら「あ、洗って返すね、服ごと」と言っていました。