「あのさぁ、ミヨのために出てきたんじゃないわけ、アンタは…」

『お前が全部話しちゃったからな、俺達のこと』

アタシは、こぼれそうになる涙を必死でこらえ、歪みそうになる声を必死で抑え、悪態をつく。

「それとアンタがアタシに電話するのになんの関係があるのよ」

『俺のこと吹っ切ってほしいのは、ミヨだけじゃないからさ』

マキトの声は、あの頃のようだった。

最後にミストに来た時のように悲痛でもなく、ミヨちゃんといるときのようにダルそうでもなく。

アタシといたあの頃のように、しっかり者の口調だった。

『だから本当は、今日ここでミヨに全部話して、お前への伝言も頼もうと思ってたんだ』

「…世の中はそんなにうまくいかないのよ」

『身に染みて感じてるよ』