その曲が、彼の想いが詰まったチープな電子音が、今私の耳に再び入ってきているのです。

私は、発信音を鳴らし続ける自分の携帯を持って立ち上がり、ゆっくりと音のするほうに近づいていきます。

聞こえる音が段々大きくなり、音の発信源が見えそうな距離になったところで、遊具の脇から影が立ち上がりました。

手にはランプが点滅し、なつかしい着メロを流し続けるボロっちい携帯を持って、

こちらにゆっくりと歩いてくるその人影は


まぎれもなくマキトでした。


「相変わらず、困ったらココなんだな、ミヨは」

そう言いながら片手を挙げるマキトの顔は、三年前、私の思い出の中のマキトと寸分の狂いもありませんでした。