「ひとつ、不思議だったことがあるんです。なんで私にしか、マキトは見えないんだろうって」

「それは…ミヨちゃんに依存して存在してるっていうことじゃないの?」

ハンドルを握ったまま、ユキさんは答えます。

「ユキさんの説明で、一応そうは思ったんですけど、ひとつだけ違ったんですよね」

私は、昨夜のことを思い出します。




「ユキさん、昨日、マキトの声…聞こえてましたよね」




ハッとした顔で、ユキさんはこちらを見ます。

「あ、前!前!」

慌ててブレーキを踏むユキさん。信号の停止線を少しこえたところで車は止まりました。