「これから、どうなると思う」
 暁晏は、自分も熱い饅頭を口にしながら言う。
「姫様のことですか」
「それも含めて、このさき」

 恵弾は指に付いた皮を舐めた。
「私の意見など」
「ただの四方山話だ」

 それでは、と恵弾は思考し、口にする。
「まず、姫様が目覚めます」
「うむ」
「陛下か、あるいは暁晏さんが姫様の症状を伝えるでしょう。伝えなくとも、周囲の者の表情から、姫様ご自身でお命の先が短いことを知るやもしれません」
「ああ」

「そして陛下は、浪費をなさいます」
「浪費、か」
 呟いて、もう一口。暁晏の一口は恵弾の倍くらいの大きさがある。

「城は堅牢な、初代の王がこしらえたものなのに、それに似合わない趣味の内装……正直なところ、驚きました」
「恭姫の好みに沿うものを、陛下やお后様が集めさせたからな」
「健康な時でさえそのご様子。増して、先が短いとなれば」
 姫が望めば、如何なるものでも求めるに違いない。どんなに値が張ろうとも。