「実は、今回の事件ですが、レオルド様のカップリング撤廃に不満を持つグスタフ卿が国王失脚の策略の一環として企てたものらしいのです。」

「何ぃ~!あんのタヌキ爺ぃ…文句があるなら正面切って意見しろっつーの!よーし、ラヴィ、これから奴の屋敷へ行くぞ!」

「え?でも、それはちょっと…。」

「ばぁか!これが俺流って奴なんだよ。いいから俺についてこい!」

そう言い放つとレオルドは、氷柱の陰の二人に歩み寄った。

「すまない、ちょっと急用が出来た。今夜はこれで失礼させて貰う。宿の方の支払いは全て俺が持つ。好きに飲み食いしてくれ。」

その言葉に、フェイはアベルと顔を見合わせ肩を竦めた。



「さて…。アンタらが一番気になっている約束の報酬だが…。」

「うわっ、待ってました♪」

「フェイ!」

レオルドの言葉に、フェイの声が1オクターブ高くなる。
それを軽く窘めアベルが苦笑いを浮かべた。


「そうだな。とりあえずこのくらいでどうだ?」

レオルドがパチンと指を鳴らすと、金貨が詰まった革袋と宝石が詰まった小さな革袋が彼らの足元に現れた。

「うわっ!こっ、こんなに?」

「エンリケさん…いくらなんでもこれは貰いすぎです。」

二人の声が同時に響く。
その様子を見て、レオルドはクククと楽しそうに笑いながら言葉を続けた。


「いいからいいから!コイツは俺の気持ちだ。二人のお陰で俺もこれからやるべき道が見えてきた…これは感謝の気持ちだ。」

「エンリケ…。」

「それに、アンタらいずれは結婚するんだろう?フェイ、金は無いよりある方がいい。」

「あっ、あははっ…。」

レオルドの言葉に耳まで赤く染まったフェイが困り顔でアベルを見つめた。