グルルルルッ


唸り声を上げ、レオルドを噛み殺そうとキマイラが彼に跳びかかった。

「そう簡単に、殺られてたまるかぁ!」

レオルドは叫ぶと、渾身の力を込めてキマイラの下顎をロッドで突き上げた。


グワァァァァァッ

キマイラが怯んだ隙に彼は身を翻し、フェイの側へ左足を引きずりながら駆け寄り、彼女の耳元でゴニョゴニョと何やら囁くとニッと笑った。


「…冗談じゃない!」

フェイは血相を変え、怒りの咆哮をあげているキマイラを見つめた。

「仕方ないだろう?俺、魔法使えないし…。それに、さっきのお前の腕ならなんとかなりそうだ。」

「簡単に決めてくれるなよ!…ったく…その代わり報酬は倍貰うからな!もうっ!こうなったら破れかぶれ!化け物、かかって来な!」

フェイはそう言い捨てると剣を抜き、キマイラに向き直った。


(ここでは魔力が使えないとなると、奴の力も私と互角なはず!勝機はまだある。)



「はぁぁぁぁっ!」

彼女は剣を構えると、地を蹴り飛び上がった。
空中でクルリととんぼを切ると、剣を逆さに構えキマイラの背に跨り獅子の頭に剣を深々と突き立てた。