作りたてのプレゼントを入れた小袋をさげ、彼が座っているベンチに向かう。
足を組み、我が物顔でベンチを陣取る彼に、無意識に溜め息がこぼれる。
…ほら、砂場にいる子供たちなんて、頭にハテナを浮かべながらこっちを見てるし。
しかし、彼にしてみればそんなことはどうでもいいのだろう。
私の名前と一緒で。
「今日は何?」
私がベンチに腰を下ろすなり、彼は嬉しそうな表情で小袋を取り上げる。
子供の母親たちだろうか。
5~6人のおばさんたちが、私たちをちら見しながら、
ひそひそと何かを話し込んでいる。
眉間にシワを寄せながら会話しているあたり、私たちのことを悪く言っているのだろう。
『最近の若い人たちは…。子供のための公園なのにねぇ』
『子供の悪い手本だわ』

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