決めた決意が、音をたてて崩れてしまいそうで怖い。

お願いだから、優しくなんてしないで。


「なんでもない」


私がそう言って再び強く箱を押しつけると、彼は素直にそれを受け取った。

2月はまだまだ寒く、コートを羽織りマフラーまでしているのに、

時折吹く強い風が、私の体を凍えさせていくかのように突き刺さる。


「今日は普通のチョコ?」


ガサガサと箱を開け、中身を確認するなり私に問いかけてくる彼。

私はうん、としか言えず、彼がチョコレートをほおばる隣で、冷たい空気にただ耐えた。

「風邪引くからもう帰ろう?」と、砂場で遊ぶ子供をあやす母親。

「嫌だ。」と駄々をこね、握りしめたおもちゃのスコップを離そうとしない子供。