「そう、なんだ」

これ以上聞いてよいかどうか、見当もつかなくて清水は一口、ウィスキーを飲んだ。
紫馬は氷を溶かすかのようにゆっくりグラスを傾けながら、煙草を愉しんでいた。

清水は、先ほどからフラッシュバックする記憶が気になって仕方が無かった。

「都さんは、どうして俺を助けてくれたんだろうな」

考える間もなく呟いていた。

え、と。
一瞬紫馬の動きが止まる。

そうして。
にこりと口許を微笑ませた。

「そうか、言ってなかったっけ。
あの頃、都ちゃんは超能力者だったんだ」

真面目な口ぶりで、おかしなことを言い出すので清水はどう対応してよいか分からず、瞳を細めた。

「あ、冗談と思ってるでしょう?
本当だよ。
ほら、子供ってそういうの持ってたりするじゃない?
直感みたいな。
あの時、ヒデさんから連絡もらえなかったから、なんか手助けできないかなと俺、数日間部屋に篭って資料を漁ってたんだよね。
そうしたら、遊んでもらえなくなった都ちゃんが拗ねちゃって、大雅くんのところに遊びにいったんだ。
大雅くんが手を焼いて俺の部屋に相談に来ている間に、赤城に頼み込んでヒデさんを助けに行ったんだよ」

「なんで、また?」

出来すぎた話にしても、理解できなくて。
清水は首を傾げる。