「うぃ〜っす」
大体こいつのテンションには馴染んで来たけど、
何故朝からこれだけハイになれるのか、
理由はわからない。



昨日の別れ方が別れ方だけに、ボクは何か純の顔を直視出来ない。



「山浪くん」



後ろから声を掛けられた。この声は瀧澤。直視できない人が約2名に増員。
けれど、紀子は素知らぬ顔で言葉を続けた。


「昨日のお昼休み、花巻くんと二人で音楽してたよね?」


音楽してる、ってなんかいい言葉。


「してましたね〜」


「すごく良かった。で、私も軽音入るから、よろしく」


かなりびっくり。確か瀧澤って吹奏楽でバリバリやってたクチだ。
3年になって、最後の大会前に何を言ってるのか、瀧澤の意図が見えてこない。


「昨日、吹奏楽の部長には退部の旨、電話で伝えてあるから。山浪くん、軽音部長だよね?よろしく」


…結局、花巻には一言も一瞥もないまま、去って行った。



この態度って、…想像すべきじゃないよな、本当は。
でもこれ完全に巻き込まれパターンでしょ。


少なくとも、瀧澤の機嫌が損なわれるようなことが、あれから二人の間にあったことは確かだ。



ポカンとしてる花巻に


「花巻、何があったかはいいけど、あれの原因はお前がやっちまったからだ」