「今日はごめん、予備校。一応オレ受験生だから」

「うん、…一人で?」

「いや、3人で」

「紀子さんもいる?」

「…いない。ヤロー3人。毅と…タカノ」

タカノの名前を借りるなんて、オレ友達いねえ。


朝待ち合わせして通学デート。君代は大分オレの事見えて来たみたいで、
腕を組んだり、くっついてきたり、しなくなってきた。

そうゆうの本当に恥ずかしい。

君代は予備校の話も聞きたそうにしていたけど、
オレの聞いて欲しくないオーラを察したのか、聞かなくなった。


毅の名前はよく出すので、君代が気にしてるのは多分タカノ。


でもその後も、毅が、毅が、と毅の話をして押し切った。


毅、サンキュー。


「でも、ちょっと妬けちゃう」

「何に?」


「だって、純て毅くんの話ばっかりだよね。なんかスゴイくらい」


「毅は、オレの最初の親友だから」


「…なんかいいね、そうゆうの」


「君代は?今日は友達と過ごさなきゃ」


「だよね。純と付き合ってから友達と遊んでないもん」


「友達大切だよな、友達は」


「…男の子の友達とか言ったら?気になる?」


「え?」


気になる…かな?
男の子の友達、ネ。


昨日、毅と紀子が授業サボった事を思い出した。
あれは友情?同情?
…それとも愛情?


何も言う権利はないけど、気になる気持ちに嘘はつけない。


ダメだな、オレ。


気になるけど気にしちゃいけない。


「気に…ならない。友達だもんな」


「ふうん」

君代はどこか寂しげだった。