HAPPY DAYS

帰り道、毅くんの自転車の後ろに乗って背中越しに毅くんの鼓動を聞いた。


いつまでもこうしていたい。


でも、私の家は悲しいくらい近かった。



「瀧澤んちとボクんちと結構近いなぁ。線路挟むから中学は違ったけど、近道すれば…10分くらいじゃない?また遊びましょ」

「うん、…予備校も見学来るって約束してたものね」

「そうだった。明日?予備校の日」

「明後日。結構休んじゃってた」

「明後日、純と3人で。…瀧澤」

「何?」

「素直になれよ」

毅くんは去って行った。



「紀子」

振り向くとママ。
最近ママとろくに口を聞いていない。でもママには理由が分からない。でもそれも気にならないみたい。

「今日の子は、昨日の…タカノくんだっけ?よりカッコイイじゃない」

カッコイイ?ママから聞くと虫酸が走る。

「どうなの?今日の子にしたの?…純くんとはどうなったの?」

私は無視して2階の自分の部屋に行く。


「ちょっと、紀子、聞いてるの?」

「疲れたの、寝るから」



ママの綺麗に整った眉が醜くひそめられたのを、横目に見ながら、
自分の部屋に逃げ込むのが精一杯の抵抗。



タカノはともかく、毅くんに評価したり、ましてや花巻くんとの仲を詮索なんてされたくない。


毅くんと過ごした時間は楽しい分だけ切なかった。


ましてこんな惨めな終わり方だとしたら。