放課後イソイソと帰る花巻を見掛けた。


花巻、ムカつく。


いらいらしてるのにまた、タカノからメール。


「元気ですか〜、元気があればカナメ祭もできる、君がいないと元気が出ないよ」


返信しない。
返信する価値すらない。


私は絶対男運がない。


部活に行くとボンがしつこいし。


今思うと、他の女と浮気してたにせよ、花巻がその気なら花巻とやり直しとけばよかった。


そうじゃなきゃ、こんなにタカノやボンにつきまとわられる事もなかったし、
花巻がデートに行くのを見て腹を立てる事もなかったし、
花巻!とか言って呼び捨てにして毒づく必要もなかったのだ。


痛恨の決断ミス。


って私だけが悪いの?


キスしようとした私を突き飛ばしたあと、
別の女と…、って有り得ないでしょ?


やっぱり悪いのは花巻だ!



…それでも蟻みたいな小さな花巻くんを窓から見送ると、
涙が零れる。


あんな小さくてもすぐ認識出来るくらい、好きなんだよ。


あんなことされてもまだ泣けるくらい、好きなんだよ。




どんどん小さくなってゆく花巻くんの背中を見送りながら、
小さな声で告白した。


「…好き」



花巻くんの背中、見えなくなった…。