時刻はすでに11時を回っている。
心配になったあたしは藍に電話をかけた。
プルルル…
何度めかのコールで藍が出た。
『……もしもし?』
「藍!?遅いね、まだ帰ってこれないの?」
『もう帰ってきたよ。あのさ…話あるんだ、今からあの神社まで来れる?』
「え…うん」
『今すぐ来いよ?じゃあな』
違う…。
なんだか、さっきの藍、様子がおかしかった。
声も、喋り方も。
異変を感じ取ったあたしは、コートを手に取り、急いで神社へ向かった。
―数分後―
「実優。こっち」
振り向くと、そこには藍がいた。
「藍!!話ってな…」
あたしは突然、強く抱き締められた。
「いた…痛いよ藍」
「あ…ごめん」
ヤッパリ。
おかしい…。
いつもなら余裕たっぷりで、意地悪く笑うのに。
今は切迫詰まった顔をしている。
「…?」
「なぁ。俺たち、別れよ?」
「え…?」
あたしの胸にあった、不安と言う気持ちは、現実になった。


