やめて、やめて。
これ以上、何も言わないで。
足がガクガクと震える。
手には汗をかいていた。
最初から分かってた。
あたしが先生に抱いている感情は、
いけないものだって。
あたしが…あたしが全部悪いから、
これ以上先生を責めないでっ……。
その場に出ようと、
足にぐっと力を入れた時。
「桐山」
「…っ!!」
落ち着いた声で、女の子の名前を口にした。
「確かに、風花とはここで毎日勉強を教えてたよ」
「なら…っ」
「でも、桐山が思ってるような関係じゃない。
もう、テストも終わったことだし、
風花とは関わる機会もなくなるだろうから…」
関わる機会が、なくなる?
それって……。
もう質問に来なくていいってこと?
―あたしには、会いたくないってこと?
その答えにたどり着いてしまった時、
あたしは静かにこの場を離れた。

