先生、教えて【短】



待ちに待った、放課後になった時。


ホームルームが終わった瞬間、
あたしは教室を飛び出し、資料室に向かった。


手には、あのテストを握りしめて。



これで教える必要はないな、って言われるかもしれない。

その時、あたしは、あたしは――。




資料室に続く廊下の角を曲がろうとした瞬間、

話し声が聞こえてきた。



「せんせ……好き」


その光景を見て、血の気が引いた。


資料室の前で、知らない女の子と、
先生が抱きあってる。



慌てて身を隠して、その光景をのぞき見る。


本当はここで帰ったほうが良かったのかもしれない。

でも、足が床に根をはったように動かなくて、
あたしは泣きそうになった。


な、何で動けないの…?

早く、早く、帰らなきゃっ……。


あたしはそう焦っていても、

聞きたくもない、2人の会話は続いている。