「風花」 聞こえた愛しい人の声に、元気よく振り返る。 『せん……成、どうしたの?』 「…今日、俺の家で待ってて。 料理作ってやるから」 周りに人がいないことを確認して、成は小声で言った。 『うんっ…』 やったぁ、今日は成の手料理が食べられる! 緩む口元を教科書で隠しながら、 その場から走り出す。 「こらっ、廊下は走るんじゃない!」 そう教師らしく注意する成も、 笑顔がこぼれていて。 ―あなたを好きで良かった。 今、そう強く思ってるんだよ――。 END