「…風花」
返事は、絶対にしない。
あたしは先生とは関わらないって決めたんだから……。
胸の中で暴れる思いをなんとか抑えて、
狸寝入りを続ける。
「………」
先生はそっと、毛布をめくった。
外気にさらされるあたしの顔。
先生……?
目をつぶっているせいで、何が起こってるか分からない。
「風花…」
先生があたしの名前を呟いた瞬間、
唇を塞がれた。
『―…やッ』
すぐに目を見開いて、見えた光景に、
驚きのあまり、先生の体を突き飛ばしてしまった。
――先生にキスされた。
目ではっきりと見てしまった現実。
あたしの頭は混乱して、パンクしそうだった。
「………」
『せ、せんせ…』
先生の瞳の奥はひどく、揺れていた。
はじめて見るこんな先生の姿に
体中に動揺が広がっていく。
握りしめていたシーツは、くしゃくしゃになっていた。

