「…では……お願いします」
「…ええ」
しばらくして、ガラガラとドアの開く音が聞こえた。
やっと終わったんだ……。
ようやく寝られる、と胸をなで下ろしていたら、
コツコツと歩く音が聞こえた。
…どうやらこっちに向かってきているようだ。
相手するの面倒くさいから、寝たふりしよ…。
毛布の中で一人、そんなことを考えていたら、
「…風花」
その声に、心が震えた。
な、なんで。
なんで先生が……。
物音を立てないように、
こっそり携帯で時間を確認すると、
先生の授業は既に終わっていた。
「風花…」
先生の手が、優しくあたしの髪に触れる。
とてつもなく、泣きそうになった。
2度と先生に触れてもらえることはないと思っていたから。
先生に触れられた所が静かに熱を帯びていく。
高まる鼓動。
あたしの目からは、一筋涙がこぼれた。
―やっぱりあたし、
先生が好きだ。

