「風花っ」
名前を呼ばれて振り返る。
『どーしたの?』
「あのさ、テスト終了おめでとー記念で、
放課後カラオケ行かない?」
『…うん、大丈夫だよー』
「ホントっ!?
なら、時間と場所あとで伝えるねー。
風花来ると、人の集まり良いんだよねっ」
彼女は放課後のことでも思い浮かべているのか、
楽しそうに笑っている。
それに比べてあたしは、適当に作った笑みを浮かべただけだった。
…別にあたしが来ると、人の集まりが良いとか、
そんなのは別にどうでもいい。
―あたしは先生に求められれば、それで良かったのだ。
あれから、先生とは会ってない。
というか、あたしが避けてるのだ。
先生の授業の時は、
仮病を使って、保健室に駆け込んだりしていて、
職員室の前も通らないようにしていた。
あからさまだとは分かってる。
それでも会うよりかは、遥かに良かった。

