―「お前って珍しいよな」


初めて、先生の授業を受けて、

授業後に質問しに行った時に言われた言葉。


何に対して言われたのか、分からないけど。

あの日以来、
先生の声が耳の奥に強く焼き付いて、
離れなくなった――。







『先生』

授業後の質問は、毎回恒例のこと。

先生はあたしの声を聞いて、
待ってました、と言わんばかりの顔で振り返る。


「またお前かー」

そう言いながらも、
優しく頭をなでてくれるから嬉しい。



『先生、髪がぐちゃぐちゃになるー』

「別に良いじゃん。
つか、お前髪サラサラだなー。うらやましー」


俺なんかゴワゴワだぞ、と無邪気に笑う。



…頭、なでないでほしい。

ものすごくドキドキして、仕方ないから。