ラブストーリーを一緒に

「まぁ何にせよ、あんたのおかげで助かったわ」


「だから…わたしは何にもしてないんだけど」


先生は一体わたしの何を見て、ヒントを得たんだろ?


少なくとも、今回の連載作品『クローバー』の第一回目を読むかぎり、見当もつかない。


相変わらず先生の文体は心地良くて、ヒロインの細かな心情がリアルで…


まだ初回にも関わらず、ヤられてしまった。


「じゃあ本人に聞いてみれば?」


「な、何言ってるの?わたしが先生と会うことなんて…」


会う理由がないのに、聞けるわけがない。


俯くわたしに、しかし母はあっけらかんと言い放った。


「やーなんか、あんたが行くと香月くんはかどるみたいだし?ちょうど今、読み切りが一本締め切りまじかなのよねー」


この原稿、遅れるとまずいのよねー…とわざとらしくため息をこぼしてみたり。