「………う………」


我慢すればするほど、苦しくなって嗚咽が漏れる。


数枚ティッシュを引き抜くと、いつのまにかボックスが空だ。


一体どんだけ使ったのか―――


「……あんた、何やってんの?」


「…あう…」


ぐしぐしとティッシュで鼻をかみながら振り返ると、部屋のドアの前にいつからいたのか、


スーツ姿のまま呆れ顔の母親が立っていた。


「ご…ゴレ読んだの゛ー…」


問われるままに、うわぁぁと顔を崩しながら、雑誌の例の場面を示す。


「あぁ…香月くんの連載じゃない。今日発売のやつもう読んだの?」


「当たり前じゃん!ハルカ様の…っ」


そこまで口が滑ったものの、リアル香月遥が頭をよぎって続きに困った。