「…ふわぁ…」


なんとかあくびを噛み殺してみるものの、ちゃっかり涙が目尻に浮かぶ。


日本史の時間は当たらないことがわかってるから楽には楽だけど、その分気もゆるむし、睡魔も強い。


悪夢のような6限目が過ぎて、ようやく放課後になってもその効力は残ってるわけで。


「さぁ子、一緒に帰ろー」


帰り支度していた途中で、トモがやってきた。


珍しい。


テニス命のトモは、いつもは朝から晩まで部活三昧なんだけど。


「あれ、もうテスト期間だっけ?」


「違うよー。先週試合終わったばっかりだから、今日は休みなんだ。ねねね、どっか寄り道してこーよー」


真っ黒に日焼けして、高く結んだポニーテールが揺れる。


スポーツ少女ってかんじだけど、顔は意外に大人びてるんだよね。