ラブストーリーを一緒に

白に銀の文字のシンプルな背表紙。



特別目立ったところはないのに、気がついたら手にしていた。





『月だけが見ている』





―――誰も知らなくていい。僕だけが知っていれば。



そこから始まる一人の青年の視点で書かれたその物語は、



情熱的な恋に落ちる幼なじみの女の子を、ただひたすらに見守り続けて、



自分の想いをひた隠しにして、相手の幸せを願い続ける。



そんな青年がある一度だけ。



彼女が泣き疲れて眠ってしまった夜に、ポツリと呟くんだ。





―――愛してる