ラブストーリーを一緒に

―――わたしが香月遥の作品に出会ったのは、忘れもしない、小学校五年生の春だった。



クラス替えをして初めての授業参観。



仕事命の母親が来るわけないってのはわかってたんだけど、その日は特別寂しくって。



空っぽの家に帰りたくなかったわたしは、夜になっても街をブラブラしてた。



お母さんもちょっとは困ればいいって、思ってたのも本当。



ずっとずっとイイコでいるのに疲れて、このままグレてやる!…なんて。



グレ方もわからないわたしは、結局は大好きな本屋さんにいたんだ。



わたしってお母さんにとってなんなんだろう。



本当の娘じゃないんじゃないかって、バカみたいな悲劇のヒロインに酔っていた時、それは飛び込んできた。