「……う……くぅ……」



自分の気持ちを確信すると、情けないことにますます嗚咽が漏れる。



カッコ悪い、自分。



勝手にやきもちやいて、マンションまで押しかけたくせに、



実際現場を目撃したら、真実を聞かされるのが怖くて動くことすらできない。



ただ泣いて、突っ立ってる。



小説を読んでる時は、主人公の気持ちがわかるなんて錯覚して、一緒になって泣いたりもできたけど…



現実は違う。



ただ孤独で



醜い嫉妬してる自分が嫌で嫌で



悲劇のヒロインに酔ってるだめなわたし。





「…先生…」



今すぐに、あの大きな手の平で頭をポンポンと撫でてほしい



そばにいさせてほしいよ―――





あの広い背中はとっくに見えなくなってるのに。



いつまでもわたしはそこから離れることができなかった。