何に似合ってるって


先生に、だ。


二人は『友人』にしては親しすぎる距離のまま、エントランス前で向き合う。


「本当に送らなくていいのか?」


先生は黒のスラックスに白いシャツ、その上に無造作にダウンジャケットを羽織っているが、履いているのはサンダルだ。


おそらく、部屋着に少し外に出るからジャンバーを引っ掛けてきましたってことなんだろうけど、


サンダルを見なければ、全てトータルコーディネートをされたかのように完璧なスタイル。


彼女はそんな先生の胸に手をあてて、妖艶に誘ってみせた。


「タクシーを呼んであるから。…あなた、仕事あるでしょう?これ以上邪魔できないわ」


そう言って、つつ…っと胸に置いた手を下へ滑らせていく。


「へぇ?随分とまぁしおらしいことを言うようになったんだな」


先生は近づく彼女の腰に自然と手をまわし…


わたしはそれ以上見ることができずに、視線を足元に移した。