ラブストーリーを一緒に

先生にとってわたしは、仕事相手であるお母さんの娘にすぎないんだから…


「やっぱり…このまま帰ろう…」


もしも先生に軽蔑の目で見られることになったら、


わたしはもう『香月遥』のファンでさえ、いられなくなる気がする。


諦めと共に出た息は、真っ白く染まった。


カチカチと、空気の冷たさに歯が鳴る。


手袋をしていない手は、両手を擦り合わせてみるものの、麻痺して感覚がない。


どれだけこの寒空の下でウジウジしてたか―――


最後に未練がましくエントランスへ視線を戻した瞬間、心臓が飛び出るかと思った。