そこでガシャンっと派手にカップを割ってしまい、我に返った。


「あーあー、指切らないようにゴム手袋はめなさいね」


そう言いながら無言で片付け始めるわたしに、更に追いうちをかけてくる。


「まぁ金持ってるし、あのルックスだしね。女がほっとかないでしょ」


「はぁ…」


お金のことはよくわからないけど、作家『香月遥』は売れっ子で、出す本出す本全てベストセラーだ。


それに先生はかっこいい。


わたしがこれまで出会った中でダントツにハンサムだし…


そんで困ったことに、大人の男だ。




「やっぱ…先生はモテるんだ…」


そんなんわかりきってることなのに、現実感が乏しくて気付いてなかったんだ。