ラブストーリーを一緒に

「は、はい…?」


母親って―――


的外れの答えのような気がしたけど、先生の目は真剣で…とにかく次に続く言葉を待った。


静かなジャズの調べと、微かな談笑の声を耳に、


まるで、ここの空間だけが切り取られてしまったような、不思議な感覚がする。


ややあって、先生は短く息をついた。


何かを諦めたか。


それとも、決意をしたかのように。






「―――俺の母親は、夢見る夢子ちゃんがそのまま大人になったような女だったよ」


だった…って、過去形…なんだ…。


そこに気がつくと、胸の奥がチクリと痛む。