「あー、投げないで下さいよー」



それを拾った富士原さんは



「ホラ」


「見せんなバカ!」


「えー? でもホラぁ!」


「やだぁぁぁぁ!」



サドッ気のある本性が見え隠れする行動にでます。
っていうか丸出しです。



「止ーめーろ!!!」


「でも、ちゃんと見なきゃ! ホラ!! 見ろ」



最後命令形だったね、うん。



「うう………、ハイ」



恐怖ですっかり弱体化した北村さんは、半泣きでその絵を手に取りました。

富士原さんは嬉しそうに目を細めて(前髪で見えんがね)それを見ながら、



「じゃあ、ちゃんと見て下さいな」


「ハイ………」



なんなのこの人たち。


まぁいいや、とりあえずはこの絵を見ましょう。










北村さんの言った通り、三人仲良く血祭りに揚げられてる絵でした。


しかもその絵は非常にプロ並で、とても小学五年生の描いたものとは思えません。

思えませんとも。

三つ並んだ十字架。
磔にされた人三人。



一人は女の子で、一人は男性で、一人は女性。

女の子はツインテールです。野田さんもツインテールです。


もしこの男性と女性が野田さんの両親ならば、間違いなく、クロエが“家族”の絵を描いたと言ってたのが正しくなります。


微笑ましさからは一万キロ位離れてます。





野田さんは、何を見て此れを描いたのでしょうか。




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