しかし飽くまで疑惑だし、虚偽である可能性が高い。
それを今北村さん達に教えて良いものだろうか。


サエを見た。

どうやら同じ事を思ってたらしく、珍しく複雑な表情をしている。



「何があるの?」



ぼくらの様子に、北村さんが鋭い声で訊いてきた。
まさに“警察のカオ”だった。



「どんな事でもいいの。何かあるなら教えて?
―――――言え」



命令かよ。
眼差しがレーザーガンみたいだ。

耐えかねたサエが口を開いた。



「あの………コレは多分違うとは思うけど、えーと、担任、野田っち、えぇぇぇっと…………」


「「??」」








「もぎゃぁぁぁぁ!! そんなに見るな! ガン見すんなぁぁあ馬ー鹿!」



北村&富士原コンビの突出した熱い視線に理性をくじかれた。



「クぅぅぅぅるぉぉお!」


凄まじい巻き舌で名前を呼ばれちゃ堪らない。

しかも耳元。



「いヒィィィ………っ!? 叫ばんでも聞こえてますよサエさん!」


「だって、だってぇ……」


「何故泣く!?」



今やサエの涙腺は最大解放、ボロボロと泣き出した。



「あの愚民どもが、恐いぃ!」


「目が? ――――愚民て何や」


「ぜんぶ………」


「あーあ、泣かせた」


「うぇぇん!」


「ぐほぁ!?」



泣きながら、サエが抱きついてきた。

〈ひゃっほうラッキー☆〉的な気持ちに達する前に、伸びてきた右腕が首を一周して気道を押さえた。




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