僕の中の十字架



然し謝るだけでは済まなく、女性はめざとくピンク色の名刺と重なる何かを見付け、《ずばっ!》と神風の如く奪い取りました。



「ああっ!」



男性の悲しげな叫びが辺りに響きます。

近所の家の窓のカーテンが《しゃっ!》と開いて《しゃっ!》と閉まりました。
どうやら変人と思われてます。



「“特別会員カード”………」



地獄から生還した邪神のような低い唸り声、もとい女性の声。

男性の背に一本の筋が通ったかの様に、男性は背をピンと伸ばしました。



「…………後で、ゆっっくり話しましょうか」


「は、はい………」



なんて馬鹿な男だ。

クロエがそう思う中、男性は今度こそ警察手帳を出してクロエに見せました。



「…………」



クロエは、かなーり不安になりました。

こんなのが警察?


ううう嘘吐けぇぇ――!!


こんな人が警察になれるなら、クロエは警察庁長官になれますよ。


女性はクロエの不安をよそに



「ねぇ、宮崎クロエちゃんって女の子に会いたいんだけど、居る?」



居ます。
居ますよ貴女の目の前に。

クロエ、ちょっとショック。



「ぼくです」


「……キミが?」


「………はい」


「…………宮崎……?」


「…………………クロエです」



しーん。


真剣にショック受けてるのはクロエと女性。

男性は空を飛ぶ鳩にみとれてました。



「ご、ごめんなさい。こっちの勘違いだったわ。宮崎クロエくん、ね?」


「はい………」


「えーっと、話できる?」


「…………」



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