僕の中の十字架


「………バカー!お前のかーちゃんでべそー!」

「何故そこで幼児退行するんですか」

「貴女には解らないんだ!子供の心を、あのお金と株券と職業カードとお土産カードとコマと子供と伴侶と家と一緒に捨ててしまった貴女には………っ! うぅ………」

「何故泣く?」

「……ムカツクなぁ………」

「何が?」

「いつの間にか一人だけ大人になっちゃってさ………! あの時二人で無邪気に笑いあってた頃の貴女は何処に行ったんですか!」

「何時の話だ?………っていうか、大丈夫ですか」

「アィムオゥケィ!」

「……………っ何ですか急に……」

「ドン引きしてはりますな」

「だって、いきなり元気にグッと親指立ててウインクして歯をキラーンとさせるんですか……? 気持悪い上に親指は下ではなく上に向けるんですよ」

「おっと」

「そのポーズ止めて」

「だって、宮崎さんのお子さんてハーフでしょ? 外国語しか話せないかもっ」

「日奈久の小学校に通ってるんですか、野田さんもたしかここだったなー」

「気持よい無視ですね」

「海は綺麗かしら」

「ちくわ美味しいですよ」

「ちくわ嫌いなんですよ」

「ちなみに、西南戦争の時に西郷軍が――」

「はいはい、もういいから行きますよ」



―――――――――
――――――
―――



.