職員室の扉を閉めた途端、じんわりと汗が滲むのを感じた。体は正直だ。
歩きだそうとしたら、丁度放送室のドアが開いた。
通り過ぎようと前を通りかかった。が
「あれ、野田さん?」
「あ、宮崎くん」
名前を覚えてくれたとは。―――まあ同じクラスだし当たり前か。隣の席だし。
「まだ先生に捕まってたの?」
「うん。……今度、親呼び出すって言われた」
あらまあ。
「ね、一体何を書いたの?」
若しくはイジメ説か?
野田さんはぼくの問いに、あれ?っと首を傾げた。
「宮崎くん、知ってるよね?」
「何を?」
「私の描いた絵」
ナニヲイッテルノ?
知ってるも何も。
ぼくはあのケバい絵を描くのに精一杯で隣の野田さんの絵を見る余裕なんて無かったさ。
「知らないよ? その絵は今持ってないの?」
「ううん、持ってない」
野田さんが首を横に振り、ツインテールが一瞬宙に舞った。
「先生が取り上げた」
「ふぅん」
「…………」
「ま、元気だしなよ」
「ありがと」
「あ、あと水筒。教室に忘れてたよ」
「あ、本当だ。ありがと」
「じゃあね」
ぼくは野田さんに背を向けて行こうとした。が、野田さんに呼び止められた。
「何?」
困った様にランドセルの肩のベルトを握り、足元に向かって小さい声を出した。
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